なんだかまたクーデターが起きそうな雲行きだ。

前々から選挙やったら勝ち目が無いと言われてきた現政権だが、次期選挙も大負けしそう。

タクシンは早くも戦後処理で温情政策を打ち出し、弱いと言われていたバンコクの選挙区ですら世論調査では7割越えの支持。
政治経験の全くないタクシンの実妹を担ぎ出して人気爆発中。
保守派、旧権力が負けない唯一の方法は選挙をしないこと。
つまり、軍事クーデターで民主選挙無期限延期。
軍がそれを支持すれば実際に起こる。

タイはシビリアンコントロールの国でも法治国家でもない。
戦前の日本のように軍人は国王の臣下であり、首相の臣下ではない。

選挙や議会とは関係なく、進んで陛下のお気持ちを察し、自ら行動する。
ただし陛下は決して発言されないので、気持ちを察するとはあくまで予想。
多くの場合、自分に都合よく解釈しただけのものになる。

旧帝国陸軍みたいだが、実際に今でもタイでは同じ事している。
制度上の民主化はすでに完了しているが、心の中はそうではないし、その運営もまだ仮免と言ったところ。

三権も全然分離せず、司法は権力にベタベタだ。

タイに限らず、今一な国の危うさは権威主義と民主制がごちゃ混ぜの状態で存在しているためだ。

人は自分に都合のよいときは民主主義を唱えるが、いったん権益を侵されそうになると途端にそれを捨てる。

わかったような言い訳付きで・・・曰く『タイにはタイの民主主義がある』だ。

どこかで聞いたことのある台詞だと思いませんか?

タイをロシアや中国、イスラム主義国家に置き換えても全然違和感無い。
この台詞は民主主義が不都合になったときのとても便利なフレーズだ。

良い悪いは別として、選挙に基づく民主制とは制度・手法の名前であって、そんなものに国ごとの種類なんか無い。
とてもシンプルな制度だ。
そこには伝統的権威も宗教もない。
ひとり1票の権利と責任だけだ。

国民が馬鹿なら国も馬鹿。
国民が賢ければ国も賢い。

そして、その結果には国民全体が利益と責任を分かち合う。
うまく運用できないなら、民主主義を捨てればいい。
そう言う勇気がないだけだろう。

かつてタンザニアの為政者ジュリアス・ニエレレは『アフリカに民主主義は贅沢品だ』と言った。
至言だと思う。

真実とは常にシンプルな言葉で言い表される。

さて、タイにとって民主主義はどれくらい贅沢品なのだろうか?
ここ数年、その贅沢品の扱いに手を焼いているように見える。

煩悩の夕暮れ、2011年6月17日号


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