真夜中のフードランド

とんでもない時間に昼寝したら、当然の結果として、とんでもない時間に起きた。

ウーン・・・20の時から、全く変わんねえなオレの生活。
怠惰な生活万歳!

こんな時間で、もう、どこも開いていない。
淫売だって、家に帰るか、ゲイバーに行ってしまった。
こうした時間でも、うだうだしている男達が消去法的に集まる場所は、フードランドのレストランだ。

フードランドは24時間のスーパーで、仕事帰りの淫売が遅い夕食の材料を買うような場所。
必然的にロクな所にない。
歓楽街のそばばかりだ。

いつも、パッポンばかりでは芸がないし、素に戻った淫売や、カマなんかと会食したくない。
洪水観光をかねて、川向こうのフードランドに行くことにした。

午前4時に、渋滞はない。
バンコクノイの橋のたもとに行った。

公園になっているが、夜中には乞食と犬しかいない。

ワーーーッハッハッハ!!

水パンパン、すっかり限界越えで、土手の上まで水来てる。
かろうじて、土嚢で作った仮設の堤防が、水を押しとどめているが、これもタイならではだ。

日本のように流れのある川ならこんなモノすぐに流されてしまう。

ドローっと、淀んだ川だからこそ、こんな片手間の堤防でもなんとかなっている。
洪水までゆるいぜ、タイの自然災害。

土嚢の上に上がって、立ちションしながら、ワニを探す。
・・・いない・・・いなくていいのだけど。

水は最低だが、危機感は盛り上がらず、オレはフードランドに向かった。

チャランに新しくできたフードランドは、広くて綺麗。
客も淫売や黒人ばかりでない。
併設のレストランも広くて清潔。

こんな時間なのに、席はほぼ埋まっている。
遊び好きのタイ人は、東京より寝ない街を作っている。

席について、オールデイ・ブレックファーストを注文し、泥のようなコーヒーをすすっていると、一人のオヤジが本を読んでいた。

こんなに沢山人がいるのに、本読んでいるのは、オレとそのオヤジ二人だけ。
タイ人は読書の習慣も、趣味も持たない。

読書と言うより、4書5経の素読みたいな気持ちでいるので、文字を読む=勉強・苦行になっている。
人ごとで、余計なお世話だが、勿体ないな。

茶店で読書の習慣のない、タイ人にしては珍しいオヤジだなと思い、読書オヤジの方をみると手に持っているのは東野圭吾だった。
なんだ日本人か・・・。
こんな時間の、こんな所に日本人二人は図らずも読書人だった。

東野圭吾は薄い作家だ。
読みやすいけどね。

オレは一層薄い米原万里だった。
深夜の暇人にはお似合いの場所、お似合いの本だったかな。

煩悩の夕暮れ、2011年10月19日号


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