久しぶりに、ヒロポン軍曹と遊びに出かけることになり、何処に行こうか?と話し合った結果、毎回ナナばかりではつまらないので、ソイ・カーボーイに行ってみることになった。

久しぶりに訪れたソイ・カーボーイは、土曜の夜だというのに、客より呼び込みの女の子の方が多く、閑散としていた。

オレ達は通りをブラブラ歩きながら、"どの店に入ろうかなー"と考えたが思いつかない…
つまり、どの店も客が入っておらず、つまらなそうなのだ!

ロング・ガンは、いつも行っていてワンパターンだし、何処か他の店にも入ってみたいのだが…

オレはヒロポン軍曹に、「カワイイ子がいる店ないか?」と訊ねた。

すると軍曹は「ヒロさん、無理っスよ!だいたい呼び込みの女からしてブスじゃないっスかー」と核心を突く事を言った。

そうなのだ、此処カーボーイに限らず、どの歓楽街でもバーの呼び込みの女の子には特にカワイイ子を配置し、それに釣られて、男達は店に入っていくものなのだ…

しかし、此処ソイ・カーボーイでは、その原則すら当てはまらないようだ。

仕方がないので、オレ達は"まだ一度も入ったことがない店に行こう"と、暗黒大陸に足を踏み込むリビングストンのような気持ちで決意した。

最初に入ったのは"ローハイド"という店だった。

"ローハイド"は、店名がカントリー風なのに、内装は柱がヤシの木、ゴーゴー・ガールが掴まるポールはてっぺんにガス灯の付いた近世ヨーロッパ風で、いったい何をイメージして店を造ったのか、想像すら出来ない支離滅裂な店だった。

その上、女はブスばかりを40人以上も集めている。
客はオレ達を会わせても10人も居ないのに…

皆、やる気なさそうにブラブラしている。
しかし、ソイ・カーボーイにしては大きな店で、ソファーやテーブルもゆったりとレイアウトされている。

だが、いかんせん女が酷すぎる。
何故かママさん、キャッシャーは全てカマという、異常な店にオレ達は居心地の悪さを覚え、すぐに店を出ることになった。

"次はどの店に入ろうか?"と、通りを歩いていたがあまり良い店はない。
その時、偶然大きな看板が目に付いた"スージー・ウォン"に入ることにした。

店に入るとすぐに女の子が寄ってきて、横に座る。
オレの隣に座った子はブスだったが、他の女はもっとブスなので、納得済みで座って貰うことにした。

カーボーイに来ると、"諦観"が身に着くように思われる。

ヒロポン軍曹の横に着いた女は、オッパイがやたらに大きい!
しかし…、このオッパイで5人の子供を育てたと言われても驚かないようなオバサンだった。

軍曹は"オッパイ"さえ大きければ、他は何も見えなくなってしまうタチなので、時々とんでもないババアや大デブ女を捕まえている。

この時も軍曹は「イヤー、このおねいさんチチがデカイっスわ!」とご機嫌で、事もあろうかオバサンにコーラを奢っている。

軍曹が女に飲み物を奢った以上、オレも奢らなければならなかったが、広い店内を見渡すと他はもっと酷いブスばかりなので、これでもいい女が付いたと言えるのかもしれない…

土曜の夜だというのに、客はオレ達の他にはインド人数名がいるのみ。
店は比較的大規模で、窓が透明のガラス張りのせいか、トップレスや丸出しの女はいない。

もっとも、丸出しをして欲しい女もいないが…オレ達は此処も長居が出来ず、店を出た。

最後は結局、"ロング・ガン"に行くことにした。

オレは今まで、何故この店にだけ客が入っているのか理解できなかったが、この日その答えを見つけたような気がする。

"他の店よりまだまし"なのだ!

この店にだけは、かろうじて女の子と呼べる女や、カワイイと言っても差し支えの無い女が、少数ながら、生き残っていた。

まさに、"掃き溜めの鶴"的な店だ!
オレ達は、やっと満足できる店を見つけて、ホッとしてくつろいだ。

ロング・ガンを出たときには、時刻は一時をまわっていた。
そろそろ、バーは店じまいの時間だ。

オレ達は何となく遊び足りず、"夜には決して閉まらないバー"、"戒厳令が布告されても営業を止めない、根性の入った淫売喫茶"の異名をとる、"テメ・コーヒーショップ"に行くことにした。

ソイ・カーボーイからなら、歩いて数分の所にある。

テメは意外なことに、土曜の夜にもかかわらず、あまり混んでいなかった。
オレとヒロポン軍曹は、白人のジャグラーが作る、花や動物の風船細工を眺めてボーっとしていた。

その時、目に付いた一人の女の子に俺は話しかけてみた。

彼女の名前はダオちゃん、イサーンはロイエット県出身の、オッパイの大きなカワイイ子(店内が暗くてそう見えた)だった。

彼女の身体をまさぐりながら話をしている内に、オレは段々ムラムラしてきてしまった。
彼女の方も何とか商売をしたいようで、「一緒に帰ろう?」と誘ってくる。

しかし…その時、オレは金を持っていなかったのだ!

彼女に「ゴメン!お金がないから、また今度ね」と言うと、彼女は「お部屋には有るんでしょ、500でいいから!私お金無いのー」と食い下がる。

実は、明日、ヒロポン軍曹とお風呂屋に行く約束になっていたので、あまり無駄な出費は避けたかったのだが…

しかし、好みの女が500バーツという安値で目の前にぶら下がっているという状況に、冷静な判断が下せるオレではなかった。

ヒロポン軍曹から、「ヒロさん、明日の約束大丈夫なんでしょうねー」と非難を受けながらも、オレは彼女を連れて部屋に帰った。

部屋に帰って、ダオちゃんといろいろ話をしている内に分かったことは、イサーンのロイエット県に実家があって、一人の娘がいる離婚経験者。

毎年田植えの終わる6月から、バンコクの縫製工場で働き、週末の夜だけテメでパートタイム売春をしているという、嬉しくなるくらい典型的な出稼ぎ娼婦だった。

そのせいか、なんだか慣れていず、一緒に風呂に入るのを恥ずかしがり、ベッドに入ってからも、どうするのかいちいちオレに指示を仰ぐ。

例えば"しゃぶるのか?"とか、"もっと舐めるか?"とか、"もう入れて良いか?"とか…

テメから連れて来た娼婦なのに、なんだか素人とやっているみたいだ。
別にテクも無かったが、何かにつけ恥ずかしがり、カワイイ!!

素人とやったような、得した気分になった一夜だった。



外道日記、2002年2月6日

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