何者かに成りたいという希望と、何者でもなく何者とも関わりを断ち、このまま消えてしまいたいという相反する思いが昔からあった。

オレは夢が無愛想な古本屋さんなくらいあまり上昇志向が無かったので、消えることに対する思いは昔から強かった。
何者でもない自分でありたい。
所属や国籍・身分なんてモノは自分自身ではありえない。

オレを縛っているのはオレ自身であると分かっていても、その呪縛から逃れられず苦しむ。

海外生活が長引くにつれ、実際問題、面倒な親戚とのつき合いは限りなく無だ。
ほぼ自由業といえる現在の生活においても、煩わしい人間関係も下らない付き合いもない。

多く他の人からみれば限りなく気楽な立場のはずだが、それでも何かに繋ぎ止められているような気がしてならないし、実際繋ぎ止められてもいる。

簡単な方法がある。
なにも解決にはならないがその場限りの鎮痛薬だ。

いろんな理由でタイに来ている皆も気付いているかもしれないが、旅・旅行はその場限りで自由を手に入れる方法だ。

短期間ではあるが面倒な周囲との関係や世間体という自身の幻想、そして日々の雑務から解放され、実に自由なはずだ。

そして肩書きが取れた自分がいかに普段から無理をして生きてきたのかを知る良い機会でもある。

自由はすばらしく、人間とは本来そうあるべきだ。
だが悲しいかな我々は社会的動物であり、手に余る自由は恐怖を呼び起こし、誰に規制されなくとも自分を縛ってしまい、不自由な日常への回帰を促す。

つまりは日本に帰ることだ。
嫌々ながらホッとしている人も多いだろう。

我々はどこから来て、そしてどこに行くのであろうか?

とまあ、そんなことを考えながらメーホンソンのクソ田舎で新年を迎えることになりそうだ。

正月までにはバンコクに戻るはずだったが、北タイに行ってコスプレ『冬』をして遊んでいたら、マジに寒くて風邪ひいた。

この田舎では就寝時間が夜八時になり、寒さのあまり犬すら元気ない。
朝は鶏に無理矢理起こされ、吐く息は白い。

実に健康的な生活と病気の身体。
ウーーーあわねえ事するんじゃなかったな。

宿の窓から小川を見るとマジにお婆さんが洗濯してやがる。
おじいさんの姿が見えないところをみるときっと山で柴刈りだ。

グッタリするが自由な気分だ。
一時的な幻想だが・・・。

今年のメルマガ発行・HP更新とも今日で終わる。
12月30日から 1月3日まではお休みだ。

この年末年始にタイにこれる外道者の皆さんも自由を味わってください。
ではよいお年を。

煩悩の夕暮れ、2009年12月29日号

外道の細道、2009年12月30日


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