メイドカフェ再び

いきなり座頭市兄にすっぽかされる。
前日、奴の方から時間指定をしたくせに、全く起きもしない。

廃人死すべし。
この不惑家出人め!
もう鼻がもげても助けてやんねえぞ!

などと、悪口言っていても仕方ないので、スクンビットで仕事してたら、偶然、アナル山本に会う。

うう・・・なんだかイヤな予感。

前日、山本のオヤジさんから電話があり、連絡が取れないので是非安否を確認してくれとの依頼だった。
頼む相手を間違えている。

アナル山本の連絡が取れないときは間違いなく無軌道なマンコに決まっている。
行動はオバサン食いだったりして、問題があるが安否の確認は必要ない。

いちおう探し当てて、親に連絡するように伝えたばかりだった。
「イヤー今回の説教は長かったです。新橋のガード下みたいな、しつこい説教でしたわ」

「あたりまえだ、オレはおまえの近況を聞かれても、まさか『不惑オバサンとマンコしてる』とも言えず返事に困ったぞ」

「紘さん今暇っすか?」

「・・・イヤな予感がする」

「タイムズスクエアに出来た、新しいメイド喫茶行ってみませんか?」

「いく!」

こうして単純なオヤジたちは、親の説教を完全に忘れ、メイドカフェに向かった。

新しい萌えスポットは、スクンビットはシェラトンホテル並びの、タイムズスクエアビル3階だった。

英語学校のベルリッツが入っているビルだ。

オレと山本という、ただ者ではない変態オヤジが入っていくと、メイド達が明るく迎えてくれた。

「ご主人様、お帰りなさいませ」

「オオォーーー」感動するオヤジたち。
テレビでやってたのと同じだ。

席に着くとメニューがくる。
オレはアイスコーヒー、山本は両親との説教焼き肉パーティーの後とかで、さっぱりしたアイスティーにした。

飲み物が運ばれてくる。

微妙に、見えそうで見えない、メイド服のスカートが憎い!
いや、大好きだ!!

アイスコーヒーは・・・・・馬鹿甘いタイのアイスコーヒーだった。

まあ、いい。
ここは飲み物の質を語る場所ではない。

同時に「全国メイドカフェ図鑑」と「萌えマガジン」を渡される。
読め、と言う意味のようだ。

ウーン・・・ディープな世界だぜ。
端から見ると、ホモオヤジのデートのように見える。
絵が汚いがしょうがない。

メイドの一人が提案してきた。
「ご主人様・・・」後の日本語は覚えていないようで、一枚の紙を渡された。
こっ、これが噂のゲームメニューだった!!

お犬様カミカミゲーム・・・なんだかわからないがメイド(ひなちゃんとリンちゃん)がカワイイので、オレはあっさり「やる」とうなずいた。

変な犬のおもちゃが運ばれてくる。
大口を開けた犬にはびっしり歯が並び、それのいずれかを押すと噛みつかれる。

二回先にかまれた方が負け。
一回100バーツなり。

実にくだらないがメイドの魅力に圧倒されやってしまう。
フッフッフ、オレはこうした運任せのゲームに昔から滅法強い。

小学校の給食ジャンケン以来、ほとんど負けていない。

反対に実力や努力の積み重ねによるゲームは、ほとんどコールド負けだ。
今回もあっさりストレート勝ち。

勝ったら何があるのか、全然説明メニュー読んでいなかった。
貰えたのは萌えるバッチ、ヒナちゃんとリンちゃんのサイン入り。

だから何だというのだ?

だが、若いメイドが相手だと素直に喜んでしまう、悲しいオヤジのサガであった。
山本は何度やっても全然勝てない。

こういう場合、奴はしつこい。

ついに、ゲームで勝てないなら、金でどうにかするという山本得意のテメ戦法に打って出た。
焼き肉食ったばかりで腹一杯だと言ってたくせに、オムライスを頼む。

ちゃんと名前とハートマークを入れて貰っている。
限りなく恥ずかしいオヤジだが、山本に恥の概念はない。

ヒナちゃんが運んでくると山本は

「アアーー手が痛くて食べられなーい。ヒナちゃん食べさせてー?」

急に山本が憎くなった。

「一口だけよ。アーン」

「バクッ」

こうして、山本はゲームで金取られたアダを、オムライスでとった。

オヤジ二人は、満足して店を後にした。

これがメイドカフェか・・・何となくわかる気がした。

おそらく殺伐とした日本社会で、人工的で嘘でも良いから、こうしたメイドとのふれ合いに癒しを求めているのだろう。

それと同時に・・・これは間違いなくマンコ抜きの風俗だ。

この後、メイドとスペシャルサービスなんてことを始めたら、一時流行るだろうけど、すぐエスカレートと過当競争により、メイドカフェそのものが廃れるような気がする。

なんとも微妙で難しい商売だな。

帰り道に山本と話しながら歩いた。
ヒナちゃん超カワイイので、山本はもうやる気満々だ。

「紘さん、広告代は今月末の集金ですよね?」

「そうだ、でも、お前金無いだろ。落とすか?」

「いや・・・ヒナで払ってもいいですか」

「相変わらず、妙なところだけ強気だな、今日、初めて会って、オムライス食わして貰っただけだろ」

「アレ完全に風俗ですよ。他の客の顔見ましたか?あれはかつてのノーパン喫茶に集っていたオヤジの顔です。うれしそうで恥ずかしそうな顔ですよ。だったら、ヒナをうちの店で働かせます」

「無理だって。お前はだいたい強引すぎる。正月も処女オバサンだろ」

「オバサンは事故だったんですよ!」

「まあ、なんでもいいが、お前から現金で集金できたことあったかな?バイクに金のネックレスにノートパソコン・・・そのたびに現物払いじゃないか、たまには現金で払え」

「払ったじゃないですか1年分、バイクと金のネックレスは借金のカタですよ」

「そうだったな、全部質流れしたけど・・・結局、返して貰ってねえぞ!」

「いいじゃないですか、じゃあ、今度の払いはヒナでお願いします」

関西人山本はこうした交渉が得意で、毎回不思議なことに納得させられてしまう。
京都人のしたたかさだ。
だてに1000年も無駄飯食ってない。

しかし、オレも外道である。

ヒナちゃんのマンコごときで誤魔化されない(この時点で、オレ達二人はヒナちゃんの身体はオレ達のモノになったと仮定して話している。すまない失礼だったなヒナちゃん。オヤジの勝手な妄想だから許してくれ)。

「じゃあ、ヒナでいいけど、それは利息な」

「利息だけですか・・・・」

「元本はキャッシュオンリーだ!」

「きつい、おやじっすねー」

外道の細道、2007年2月25日


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